市川 衛 Mamoru Ichikawa

【大江橋駅改札外】

『Cash Flow』
2019/インタラクティブアート

《photo image: 『仮想通貨?』/2018》

《photo image: 『仮想通貨?』/2018》

■「キテ・ミテ中之島2019」出品作品のコンセプト■

 2024年に発行が予定されている新札が降ってくる画面の前に立つと、映し出された自分のシルエットでお札をゲットできるゲーム的なインタクティブ・インスタレーションである。お金を次々ゲットするワクワクする気持ちと、それが本当のお金だったらという残念な気持ちの両方を鑑賞者は味わうことになる。そうした体験をどう味わうのかを鑑賞者に問うインタラクティブ・インスタレーションである。
 仮想通貨への希望と不安が交差する現在にあって、人間にとってお金とは何なのかをアートを通して自身に問い直してみる場が提供される。

 

■駅から始まるアートイベント「キテ・ミテ中之島2019」への想い■

 自分の周りの環境や他人のことばかり気にしていると、自分を位置づけを外部の目線や価値観からのみ限定してしまい、本当の自分は見失われるであろう。
 アートは単なる自己満足だと批判されることもあるが、どんな世界にあっても中途半端な自己満足など全く意味をなさない。むしろ真摯な自己対話によって純粋で大いなる昇華された自己満足とは、アイデンティティを確立・確認する行為に他ならない。自己と正面から対峙してこそ得られる絶えざる自己発見は、アートに内在する強い社会性なのである。
 他者や世界から隔絶して存在する個人など存在しないのだから、他者や世界との関係は純粋な自己対話からのみ発見が可能である。そしてそれはアートを実践するものだけでなく、アートの鑑賞者にとっても同じであり、アートを通じたコミュニケーションを通じて鑑賞者にも自己発見の場が与えられるのである

 

■Profile■

1955
静岡県生まれ

1978
京都大学理学部(物理学第二教室 )卒業

現在 大阪芸術大学を拠点とした制作活動・パフォーマンス表現・ワークショップ

作家URL:http://commseed.com/

HyperKeyboardシリーズ(1989~)Interaction Paintingシリーズ(1993~)
N-E-W-Sシリーズ(2003~)DEN-WAシリーズ(2005~)など作品多数。
1992年コム博・インタラクティブアートギャラリー、1994年IMAGES DU FUTURE
1996年サイエンス・アート展、2004年VISION in Pragueなどに参加。
1994年「インタラクティブアート宣言」、2003年「芸術情報論」、童話作品などの著作。